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切磋琢磨

2020.12.04
カテゴリ:

木の外壁「押え縁張り」のメリット

こんにちは、扇建築工房の井口慎弥です。

木の板を壁に張る方法はいろいろあります。

張り方の一例

(出典:日本建築学会 編・著『構造用教材1995改』1995)


「押え縁張り」とは

絵にはありませんが、「竪押え縁張り(たておさえぶちばり)」という張り方があります。

実物は上の写真のようになっていて良く用いられています。
平板(ひらいた)という幅広の板と
押え縁(おさえぶち)とういう幅の狭い板とで構成されています。

横一直線に切って、上から切り口を見るとこういう断面。

押え縁張りの利点は
「どこの板でも、外したいところだけ取り外せる。」
ということです。


メンテンナンス性に優れる

分かりにくいので先に、反対に「押え縁張り」でない張り方の中から
一つ例として「本実板張り(ほんざねいたばり)」を見てみます。
(先に補足しておくと、「本実板張り」にはほかにはない優れた点があります!)

「本実板張り」を同じように横一直線で切って切り口を上から見てみるとこう。

板の端に凸と凹があって、順々にかみ合って隙間をふさぐという仕組み。

この場合、途中の板だけを取り外したいとき
お互いにかみ合っているので、そのままでは取り外せない。

切って取り外したとしても
取付の釘のことなんかもあって、全く同じように元通りにするのはちょっと難しい。

「押え縁張り」はどうかというと

正面から取り外せるので、途中だけ取り外して、また正面から元通りに復旧できる。

メンテナンス性にたいへん優れている張り方です。

外壁に何か不具合の疑いがあったときに、部分的に取り外して点検したり
将来、外壁の全面的に張り替えるまでもないときに、部分張替えが容易にできたりします。


「本実板張り」の名誉のために繰り返しますが
「本実板張り」にはほかにはない優れた点があるので、また別の記事で。

井口慎弥
扇建築工房
iguchi@ougi.jp