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切磋琢磨

2018.06.15
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屋根は急な方が良い?ゆるやかな方が良い?

こんにちは、扇建築工房の井口です。

「屋根は急な方が良いのか?ゆるやかな方が良いのか?」
見学会でこのような質問いただきました。

どっちが良いというものではなく、それぞれの特徴を踏まえていろいろな側面から総合的に判断する、ということになります。

 


急な屋根の特徴

雨が流れやすい

かやぶき屋根は分かりやすい例です。材料が完全防水でなくとも、思い切り急な角度にすれば雨が染みてくるより早く流れてしまって家の中には入ってきません。

 

かわらのようにデコボコがあるとどうしても雨の流れが遅くなるので、それを補うために、かわら屋根の推奨屋根角度はまったいらな屋根に比べてやや急に設定されています。

あまりにもゆるやかな場合、かわらは使用しないのが一般的です。

 

太陽熱を利用する場合に効率がいい

太陽の熱を屋根で集めて家の中に取り入れるパッシブソーラーと言われる仕組みを採用する場合は、熱効率のことで言えば急な角度の方がたくさん日が当たるので有利です。

株式会社環境創機HPより

屋根裏空間が大きく取れる

屋根裏を利用して小さな部屋や物置がつくりやすい。


ゆるやかな屋根の特徴

費用が抑えやすい

費用の面では急な方がかかります。同じ広さの建物であれば急な屋根の方が屋根面の斜め実面積は大きくなります。その分、屋根をつくる材料がたくさん必要になります。

また屋根の上を歩くのも危ないくらい急な場合は、屋根にも仮設の足場を載せて工事することになるので費用がかかります。

 

軒を長くしやすい


これはとても大きいです。
同じだけ軒の出の長さをつくるとき、急な屋根の場合には軒の出を長くすると軒先がぐーんと下がってきて、前が見えにくくなってしまいます。(それはそれで落ち着く居場所になるかもしれませんが)

 

家の背丈を低くできる

周辺への日当たり風通しの障害になりにくくなります。
周りから見たときの圧迫感も軽減されます。

 

自分で屋根に乗って樋の掃除ができる

ゆるやかな屋根は気を付ければ自分で乗ることも可能です。


屋根は日に照りつけられ、雨に打たれ、風に引っ張られ、住まいの部分の中で最も過酷な状況にさらされるとても重要な部分です。
建物の印象も屋根の掛け方で全然違うものになります。
総合的に良く検討する必要があります。

 

井口慎弥