住まいがもたらす影響
住まいは、単調な日々の生活を繰り返すための物理的な箱ではありません。それは、私たちの人生そのものに深く関わる存在です。住まいは私たちが最も長い期間を過ごす場所であり、その在りかたは、住まい手の人生観を左右するほどの大きな影響を与えます。
家族と過ごす時間、リラックスする時間、自己を見つめ直す時間。そのすべてが住まいという空間で繰り広げられ、住まいが良質であるほど、私たちは心身ともに健康で充実した「暮らし」を送ることができるのです。
扇建築工房は、「くらし、ひとらしく」というビジョンのもと、心地よい居場所と確かな性能を備え、自然と調和する住まいをつくることを目指しています。住まい手にとって、よりポジティブな人生観を育む心の拠り所となるよう、流行に左右されない普遍的で心豊かな暮らしの「場」となることを願っています。
「箱」から「場」へ
近年の住宅産業は、戦後、とくに高度経済成長期に急速に育ち、産業革命がもたらした工業生産力の飛躍により、当時の命題である近代的な生活を送ることのできる容器としての「箱」を、人々に遍く届けることに大いに寄与してきました。
しかし、こうしたアプローチは、近代国家と国民という概念のもとで生き方や暮らし方がステレオタイプ化し、人々の日々の営みや地域での生活価値の共有を軽視していました。
現代は、家族の形態、就労の形態、ライフワークバランスなどが多様化し、人それぞれが自分らしい生き方や暮らし方を探し求める時代です。物理的な「箱」ではなく、個々のライフスタイルや価値観に寄り添い住まい手の人生を豊かにする「場」となり得る柔軟な住まいづくりが求められています。
しかし、現代の住宅産業には、選択の自由が拡大したものの、依然として近代的な効率性を追求するアプローチが残っています。これは、時代錯誤を生み出し、住まい手が本当に求めるものとはかけ離れた住宅を提供する原因となっています。住まい手の本質的なニーズや価値観が、置き去りにされてしまうことがあります。
インターネットやSNSを通じて、住まいに関する情報が氾濫している現代。最新のトレンドや技術が次々と登場し、私たちは情報の洪水にさらされています。
しかし、その中には誤った情報や一時的な流行も多く含まれており、住まい手が本質を見失いがちです。情報過多の時代において、本当に価値のある情報を見極めることが難しくなっています。
多くの人々にとって、根源にある目標は「楽しく生きて幸せに暮らす」ことです。しかし、現代社会の複雑さや情報の氾濫は、その実現を難しくしています。
扇建築工房は、住まいがその実現に向けて重要な役割を果たすと考えています。本質を見据えた住まいが、幸せな暮らしの基盤となるのです。
良質な暮らしを求めて
良質な暮らしを形づくるためには、多くの要素をバランスよく考えることが必要です。住まいが提供する価値が、単に機能やデザインという言葉では語りつくせません。
その核心には、災害への備え、経済性、健康に配慮した安心かつ快適な暮らし、家族の絆や社会との良好な関係構築、さらに、自然との共生、地域への貢献、技術の伝承に繋がる持続可能で循環する社会の実現があります。
私たちは、これらの要素を大切にし、総合的な視野での提案、本質を追求する設計力、そして専門知識を束ねる組織力を日々磨いています。
営業専門のスタッフは存在せず、お客さまの前に立つ者すべてが建築士の資格を有し、信念と誇りを持って住まいづくりに向き合います。